予防接種打ち方のコツ2025
最近、定期予防接種が色々と変更されているため、打ち方のコツを改変したいと思います。
【乳児期(1歳になるまで)】
<この期間に接種するワクチン>
五種混合3回、小児用肺炎球菌3回、B型肝炎3回、ロタウイルス2回または3回、BCG1回
最も多くのワクチンを短期間に打たなければいけないので大変だと思いますが、推奨されている接種時期(2か月、3か月、4か月、5か月)で五種混合、小児用肺炎球菌、B型肝炎、BCGを接種していくことをお勧めします。なぜならこの時期は風邪をひくことが少ないので、予定通り接種できることが多いからです。生後半年を過ぎると風邪をひきやすくなり、風邪をひいているとワクチン接種を延期せざるを得ませんのでご注意ください。
またB型肝炎の3回目は1歳までに接種する必要があるのでお忘れなく。
なお小児用肺炎球菌ワクチンの15価と20価の選択方法は、お知らせの「15価?20価?肺炎球菌ワクチン」を参照して下さい。
ロタウイルスワクチンは、2回接種と3回接種の2種類がありますが、効果に差はありませんので当院では2回接種をお勧めしています。ご希望により3回接種のワクチンも用意しますので事前にご連絡ください。またロタウイルスワクチンは初回接種を生後14週6日(約3か月)以内に接種しなければいけません。副反応である腸重積を予防するためです。さらに初回を上記の期間内に接種しても、2回目以降も接種可能な時期が決まっていますのでご注意ください。ロタウイルスも推奨されている2か月齢、3か月齢(3回接種の場合は4か月齢)に接種することをお勧めします。
【幼児期①(1歳から3歳になるまで)】
<この期間に接種するワクチン>
五種混合追加、小児用肺炎球菌追加、麻疹・風疹1回、水痘2回、おたふく1回
最大のヤマ場は1歳で接種する5本のワクチン(五種混合、小児用肺炎球菌、麻疹・風疹、水痘、おたふく)です。一度に5本接種しても良いですし、何回かに分けて接種しても構いません。
2020年の予防接種法改正により、注射の生ワクチンを連続して接種する場合のみ4週間以上間隔をあけることになり、その他のワクチンの組み合わせでは間隔を空ける必要がなくなりました。
生ワクチン:麻疹・風疹、水痘、おたふく
不活化ワクチン:五種混合、小児用肺炎球菌
分割して接種する場合は、生ワクチン3本を同時に接種することをお勧めします(1本ずつだと4週間経たないと次が接種できないからです)。また以前は保育園に通っている方には生ワクチンを先に接種することを勧めてましたが、現在はどちらを先に打っても構いません。生ワクチンを接種した翌日でも不活化ワクチンなら接種できます。
水痘の2回目は3歳までの接種となっていますので、お忘れなく。
【幼児期②(3歳から就学まで)】
<この期間に接種するワクチン>
3歳:日本脳炎2回
4歳:日本脳炎追加
年長:麻疹・風疹(年中の5歳は接種対象ではありません)、おたふく、三種混合、不活化ポリオ
3歳と4歳では日本脳炎の接種が推奨されています。3歳で2回接種し、4歳でもう1回接種します。これは乳児期に接種した不活化ワクチン(五種混合、肺炎球菌、B型肝炎)と同様に、最初の2回でしっかり免疫を付けて、追加のもう1回でさらに強い免疫を付けることを目的にしています。そのため最初の2回はなるべく短い期間(1か月程度)で接種したほうが良いです。
年長さんは、小学1年生になるまで(3月31日まで)に、麻疹・風疹ワクチンの2回目を接種しなければなりません。1回目との間隔が空いてしまうので忘れてしまいそうですが、麻疹も風疹もこの2回目の接種でしっかりした免疫がつきますので、必ず接種するようにしてください。このワクチンは5歳から6歳で接種と言われていますが、対象は年長の学年(小学校入学前の1年間)と定められていますので、年中で5歳の方は定期接種の対象外ですのでご注意ください。
なお2回目の麻疹・風疹ワクチンと一緒に、おたふくかぜワクチンの接種も推奨されています。必ずしも年長さんで接種しなければいけないわけではないので、年長の前でも後でも構いませんが、忘れてしまいがちなのとお金がかかるのとで見送られることがあるかと思います。しかしおたふくにかかると、まれに難聴になってしまい、一生治らなくなってしまうので、ぜひ忘れずに接種していただきたいです(昔言われていた男子の不妊症は、現在心配なくなっています)。
またこちらも任意接種(有償)となりますが、就学前に三種混合ワクチンと不活化ポリオワクチンを接種することも勧められています。これは乳児期で接種した百日咳ワクチン、ポリオワクチン(いずれも四種混合、五種混合に含まれます)の効果は、就学前に消失していることが分かってきていますので、これらの予防目的に就学前接種が推奨されています。三種混合ワクチン、不活化ポリオワクチンの接種をご希望の場合は、事前に電話で連絡をしてください。
【学童期(小学校入学以後)】
9歳~12歳 日本脳炎Ⅱ期
11歳~12歳 二種混合
12歳~16歳 子宮頚癌ワクチン(12歳〜15歳 2回、16歳以上 3回)
これらは定期予防接種のため、公費負担(無償)で接種できます。特に子宮頚癌ワクチンは国からも接種が勧められるようになりました。なお男性や9歳〜11歳の女性にも接種できますが、現在は定期予防接種の対象外(有償)です。
二種混合ワクチンの代わりに三種混合ワクチンの接種も進められています(有償)。理由は就学前接種と同様に、百日咳の免疫が低下しているからです。
[参考]
二種混合ワクチン:破傷風、ジフテリア
三種混合ワクチン:破傷風、ジフテリア、百日咳
四種混合ワクチン:破傷風、ジフテリア、百日咳、不活化ポリオ
五種混合ワクチン:破傷風、ジフテリア、百日咳、不活化ポリオ、ヒブ