予防接種打ち方のコツ 改訂版
- 2021年1月11日
- 院長のつぶやき
2020年10月に予防接種法が改正され、これまでとは予防接種の打ち方が変わってきたので打ち方のコツを改定したいと思います。
【乳児期(1歳になるまで)】
最も多くのワクチンを短期間に打たなければいけないので大変だと思いますが、推奨されている接種時期(2か月、3か月、4か月、5か月)でヒブ、小児用肺炎球菌、B型肝炎、四種混合、BCGを接種していくことをお勧めします。なぜならこの時期は風邪をひくことが少ないので、予定通り接種できることが多いからです。またB型肝炎の3回目は1歳までに接種する必要があるのでお忘れなく。
予防接種法の改正により乳児期に接種するワクチンは間隔をあけずに接種可能となりました。そのため1本ずつ接種することもできますが、スケジュールを細かく設定する必要がありますのでスタッフに相談してください。
またロタウイルスワクチンは、定期予防接種となりました。2回接種と3回接種の2種類がありますが、効果に差はありませんので当院では2回接種の在庫を確保しています。ご希望により3回接種のワクチンも用意しますので事前にご連絡ください。またロタウイルスワクチンは初回接種を生後14週6日(約3か月)以内に接種しなければいけません。副反応である腸重積を予防するためです。さらに初回を上記の期間内に接種しても、2回目以降も接種可能な時期が決まっていますのでご注意ください。ロタウイルスも推奨されている2か月齢、3か月齢(3回接種の場合は4か月齢)に接種することをお勧めします。
【幼児期①(1歳から3歳になるまで)】
最大のヤマ場は1歳で接種する6本のワクチン(ヒブ、小児用肺炎球菌、四種混合、麻疹・風疹、水痘、おたふく)です。一度に6本接種しても良いですし、何回かに分けて接種しても構いません。
2020年の予防接種法改正により、注射の生ワクチンを連続して接種する場合のみ4週間以上間隔をあけることになり、その他のワクチンの組み合わせでは間隔を空ける必要がなくなりました。
生ワクチン:麻疹・風疹、水痘、おたふく
不活化ワクチン:ヒブ、小児用肺炎球菌、四種混合
分割して接種する場合は、生ワクチン3本を同時に接種することをお勧めします(1本ずつだと4週間経たないと次が接種できないからです)。また以前は保育園に通っている方には生ワクチンを先に接種することを勧めてましたが、現在はどちらを先に打っても構いません。生ワクチンを接種した翌日でも不活化ワクチンなら接種できます。
水痘の2回目は3歳までの接種となっていますので、お忘れなく。水痘の2回目を四種混合追加接種と同時に行うこともお勧めです(この時は水痘1回目と3か月以上経っていることが条件です)。
【幼児期②(3歳から就学まで)】
3歳と4歳では日本脳炎の接種が推奨されています。3歳で2回接種し、4歳でもう1回接種します。これは乳児期に接種した不活化ワクチン(ヒブ、肺炎球菌、B型肝炎、四種混合)と同様に、最初の2回でしっかり免疫を付けて、追加のもう1回でさらに強い免疫を付けることを目的にしています。そのため最初の2回はなるべく短い期間(1か月程度)で接種したほうが良いです。
年長さんは、小学1年生になるまで(3月31日まで)に、麻疹・風疹ワクチンの2回目を接種しなければなりません。1回目との間隔が空いてしまうので忘れてしまいそうですが、麻疹も風疹もこの2回目の接種でしっかりした免疫がつきますので、必ず接種するようにしてください。
なお2回目の麻疹・風疹ワクチンと一緒に、おたふくかぜワクチンの接種も推奨されています。必ずしも年長さんで接種しなければいけないわけではないので、年長の前でも後でも構いませんが、忘れてしまいがちなのとお金がかかるのとで見送られることがあるかと思います。でも、おたふくにかかると、まれに難聴になってしまい、一生治らなくなってしまうので、ぜひ忘れずに接種していただきたいです(昔言われていた男子の不妊症は、現在心配なくなっています)。
【学童期(小学校入学以後)】
9歳~12歳 日本脳炎Ⅱ期
11歳~12歳 二種混合
12歳~16歳 子宮頚癌ワクチン
これらは定期予防接種のため、公費負担(無償)で接種できます。特に子宮頚癌ワクチンの接種は国からは積極的に勧められていませんが、娘さんの将来を考えると接種することをお勧めします。子宮頚癌ワクチン接種希望の方は、お電話でお知らせください。なお男性や9歳〜11歳の女性にも接種できるようになりましたが、現在は定期予防接種の対象外(有償)です。
また任意接種(有償)となりますが、二種混合の代わりに三種混合ワクチンを接種することも勧められています。これは成人の百日咳発症が多いため、百日咳の免疫をつけることが目的です(二種混合には百日咳のワクチンは含まれていません)。さらに乳児期で接種した百日咳ワクチン(四種混合に含まれます)の効果は、就学前に消失していることも分かってきていますので、就学前に三種混合を接種することも推奨されています(有償)。三種混合ワクチン接種をご希望の場合は、事前に電話で連絡をしてください。